第24回 ミャンマー最新事情-1(ロヒンギャ問題)

5月6日から5月10日までグループ会社のミャンマー現地法人(ファンワードミャンマー)に出張で行ってきました。ちょうど1年ぶり3度目の訪問です。

訪問のたびに街並みの風景が変わるほどの発展を遂げています。ミャンマーはアジア最後のフロンティアと言われているのを肌で実感します。

日本に住んでいると、ミャンマーの実態は分からないことばかりです。せっかくなので、何回かに分けて(2回くらいで終わるかも)、最新事情を書いてみたいと思います。

まず、ロヒンギャ問題について。

ロヒンギャ問題とは、ミャンマーに住むイスラム系少数民族であるロヒンギャ族に対してミャンマー政府が軍事的弾圧、迫害政策を行った結果、多くの難民を生んでいるとして国際的な非難を浴びている問題です。

国際的世論の中には、この問題解決に消極的であるとして、ミャンマーの実質的な国家指導者アウンサンスーチーさんから授賞したノーベル平和賞を剥奪するべきであるとの意見もあります。

ミャンマーを訪問すると、このロヒンギャ問題に対する現地の見方は全く異なることを肌で実感することができます。

ミャンマー人の多くは仏教徒で、5%弱がイスラム教徒らしいのですが、国民間に宗教対立は全くないことが分かります。むしろ国民同士は異なる宗教を認め合い生活している印象さえあります。

我々のミャンマー現地法人(約50人)にも何人かのイスラム教徒の社員(3~4人)がいます。

ちょうど今回の訪問期間がイスラム教のラマダン(断食月)と重なり、イスラム教徒の社員と一緒に食事ができないことがありました。でも他の仏教徒の社員もそんな習慣を快く受入れ、大変仲良く仕事をしています。

また現地法人の役員の一人はイスラム教徒の女性で、頭にヒジャブを被って仕事をしています。みんな何の違和感もなくそれを受け入れ、イスラム教徒の彼女は多くの仏教徒から信頼を集めています。

軍事的弾圧を受けたロヒンギャを、日本での印象で例えるなら「イスラム国」(または「オウム真理教」)のようなテロ集団か過激思想の軍事集団とミャンマー国内では認識されているように感じます。ただ、ロヒンギャのテロ集団のリーダーの巻き添えになっている多くの住民には気の毒だという気持ちもありそうです。

ミャンマーの軍隊が、軍事的な行動をとったことは紛れもない事実でしょう。ただ国際的報道がロヒンギャ側からの報道のみなので、報道スタンスが大きく偏っている気がして仕方ありません。

世界の報道がロヒンギャ被害者、ミャンマー加害者というスタンスに偏る理由は、ミャンマー国内からの情報発信がほとんどないからです。

それは、ミャンマーの国民はみな性格が穏やかで協調的で、宗教対立や少数民族に対する人権侵害を全く感じなることさえない生活をしているので、問題意識を持たず、強い意見が出てこないことが原因なのではと感じます。

ミャンマー国内には130を超える少数民族がいます。そして「自分は何族です」と普通の会話で出てきます。ひとつのアイデンティティになっています。

マスコミ報道により欧米の企業は人権侵害に過敏になり、ミャンマーの将来性を理解しつつも、まだまだ進出に消極的な状況です。進出に積極的なのは日本と中国です。

ロヒンギャ問題は、マスコミ報道だけ、一方的な情報だけで、ものごとを判断することの課題を大きく感じる一例です。

写真は、ヤンゴン(ミャンマーの最大都市。昔の名称:ラングーン)の中心地にある仏教寺院シュエダゴン・パゴダ(世界遺産)とホーリートリニティ教会とヒンズー教の寺院の一角(名前は知りません)。ミャンマーは多宗教の国民同士がお互いを尊重しあって共存しています。

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