第28回 悔し涙がうれし涙にかわるとき(NHK学生ロボコン2019)

2019年の学生ロボコンが、7月15日(月・祝日)にNHKで放映されました。

今回の学生ロボコンは、2台のロボットを使う競技でした。
1台目のロボットは曲がりくねったルートを素早く走り抜け、その後、少し変形したサイコロのようなスポンジをロボットのアームで掴み、一定の距離にあるスペースに投げて、当たり面を出す必要があります。2台目のロボットは、ルートに設置された山(段差)や2本張られたロープの障害物を4本足のロボットで越えることが求められました。

大会は予選が対抗戦、準々決勝以降がトーナメント戦。試合の勝敗は、全ての課題をクリアし早くゴールしたほうが勝ち。両チームとも制限時間内にゴールできない場合は、時間内にクリアした課題数で勝敗が決まる、そんなルールでした。

過去17回の開催のうち7回優勝(ここ3年連続優勝)している東京大学は、今年も予選から圧倒的な技術力で課題はすべてクリアし、予選ゴール記録は25秒と群を抜いていました。1位で勝ち上がった決勝トーナメントの第一試合の準々決勝も、相手校を全く寄せつけない圧勝でした。

東京大学の準決勝の相手は、15年ぶり3度目の出場(優勝経験なし)の京都大学でした。京都大学は学生ロボコンでは、ほぼ無名の大学です。京都大学のロボットは、安定感はあるもののスピードは遅く、予選でのゴール記録は1分25秒でした。

準決勝常勝の東京大学VS無名の京都大学。

途中までは、東京大学が圧倒的に優位でした。しかし終盤で大きなハプニングが起きました。東京大学の2台目のロボットが、長方形のサイコロをうまく掴めなかったのです。そこでロボットは全く動かなくなり、サイコロを投げることができなくなりました。

動きを止めた東京大学のロボットを横目に、京都大学のロボットは、ゆっくりゆっくり山を越え、ロープを超え、東京大学のロボットに追いつき、サイコロも当たり面を出してゴールしました。

京都大学がジャイアントキリングで東京大学に勝利したのです。そして京都大学は決勝に進出し、ついに優勝しました。

試合後、東京大学の選手がインタービューに答えていました。「ロボットが作動しなくなったのは、プログラムの些細なミス。防ぐことができた・・・」とのことで、悔やんでも悔やみきれないと今にも泣き出しそうでした。

東京大学の彼らは、たったひとつのプログラムミスで、1年間のすべてをかけた学生ロボコンの優勝を逃がしてしまいました。

彼らはこれから社会に出て、将来、日本の先端技術を担うエンジニアになる極めて優秀な学生のはずです。

「些細なプログラムミスが露呈せず学生ロボコンで優勝して、エンジニアの道を進む」
「些細なプログラムミスで学生ロボコンでは優勝できなかったけど、エンジニアの道を進む」

20年後に振り返ったとき、彼らにとって、どっちがいいのか・・・。
今回、東京大学の学生が流した涙は、エンジニアとして最も大切なことを学んだダイヤの輝きじゃないか、20年後エンジニアとして大成功し、悔し涙はうれし涙に変わるんじゃないか、と思いました。

若いとき一生懸命に頑張って、それでも失敗したり、大いに悩んだりすることは、成功することより何倍も価値があると信じています。

準決勝の試合の動画が公開されていました。
https://movie-a.nhk.or.jp/sns/DfW/xn93ug2s.html

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