第3回 私のサラリーマン時代
IT事業をスタートする前、私は15年ほどサラリーマンをやっていました。メガバンク(みずほ銀行)で勤めていました。
大手企業も外資系企業も中小企業も、あわせて何百社の企業の担当をし、ほとんどの会社の社長と会っていろんな話をしてきました。その中で最も銀行員とし楽しかったのは、オーナー企業の社長です。夢と責任が同居する前向きな人たち。訪問して話を聞くのが楽しくて仕方ありませんでした。
担当する企業の事業分析を行い、会社を信頼すると、担当企業のオーナー社長も私を信頼し、大きな夢を語ってくれる。その夢を実現するためのファイナンスでは、銀行内で支店長を説得し、本部審査部と交渉し、承認を得る。その企業の成長に関与できた喜びときたら、何物にも変えられませんでした・・・。
優良大手企業は、私が関与しなくても、他の銀行がいくらでもファイナンスをできます。そこにあるのは条件交渉だけです。銀行の使える手段を総動員して、なんとか成約に至れば、銀行内では高く評価されます。でも、なんか空しい・・。そこに自分が存在する必要はあるのか・・・。
経営者の夢を実現するために無理なんてしないで、会社の指示通りに、間違いのない仕事をして給与を貰うサラリーマンで終わろうと思えば、銀行ほどいい職場はありませんでした。(銀行もいまはもう違うかも知れませんが・・・)
自分は、頑張っても、頑張らなくても自分が進むことになるだろう将来のレールが見えたとき、もう耐えられなくなりました。39歳。サラリーマン失格の瞬間です。
退職してITの業界に入ることになりました。貸出稟議書は書けても、ソースコードは1行も書けないのに。